庭のスペースを有効に活用する方法の一つとして人気のある物置。特に冬の時期にはスタッドレスタイヤに交換した際の夏用タイヤの保管場所として重宝します。
また灯油缶などを普段収納したりする場所としても便利です。
このように物置は、季節モノを収納することが多く、地域によっては雪に対策する必要があるでしょう。
その基準として、有名な物置メーカーでは積雪型・豪雪型の物置を製造しております。
これらの物置と通常の物置の一番の違いは積雪強度です。一体積雪強度とは何なのでしょうか。
施主支給をするメリットについて
物置の雪に対する強さは、一般的には積雪強度(耐積雪強度)で表現されます。
物置メーカーによって若干呼び名は変わりますが、だいたい下記の内容となっております。
一般型 積雪強度1200N/m2(120kgf/m2)
60cmまでの積雪まで対応可能
多雪地型(積雪型) 積雪強度3000N/m2(300kgf/m2)
100cmまでの積雪まで対応可能
※一部メーカーでは3150N/m2で設定されています。
豪雪型 積雪強度4500N/m2(450kgf/m2)
150cmまでの積雪まで対応可能
なんとなく強度があることはわかりますし、通常はこれ以上の知識は特に必要無いと言えばないですが、あえて今回はもう少し掘り下げていきたいと思います。
単位について kgf/m2とは?
kgf/m2とは、重量キログラム毎平方メートルと呼びます。
1平方メートルの面積につき、1kgfの力が作用する圧力・応力と定義されています。
そもそもkgとkgfは何が違うのでしょうか。
kgは質量の単位、kgfは力の単位となります。
1kgfは、質量1kgの物体に地球の重力加速度(f=9.8m/s2)が加わったときの力となります。
良く宇宙飛行士がスペースシャトルの中でふわふわ浮いている映像を見たことはないでしょうか。
仮にこの人の体重が60kgだったとします。どこにいても浮いている人の体重は変わりませんよね。これが質量です。
しかし実際にはふわふわと浮いています。これは重力が0(無重力)なので、この人に加わる力は60kg×0f=0kgf
つまり力が加わっていないので、浮いているというわけです。
同じ60kgでも地球だと60kgf/m2、月だと重力は1/6なので10kgf/m2となります。
積雪荷重はどれだけの重さの雪に耐えられるかではなく、どれだけの力に耐えられるかを知る事が必要です。
そのため、kgf/m2という単位を用いるという訳です。
○○cmまでの積雪に対応可能の意味とは?
次に積雪強度と雪の厚みについてです。
建築基準施工令86条によると、「積雪荷重は積雪量1cmごとに1㎡につき20N(2kgf)以上としなければならない」となっています。
そのため60cmまでの雪に耐えるためには、120kgfの屋根強度が必要ということになります。
ちなみにカーポートの積雪強度の計算は、新雪の場合1m2につき3kgと設定されています。
これは住宅の屋根このようにエクステリア商材によって、積雪強度の考え方は若干異なります。
最後に
ここまで物置の積雪強度に関する話を掘り下げてみましたが、いかがだったでしょうか。
実は積雪地域に物置を建てる場合、もう一つ考えるべき重要な項目があります。
それは凍上です。凍上とは「寒気によって土壌が凍結・膨張し、その上の床面が隆起すること」です。
この症状がでると、物置の扉部分のレールが持ち上がり、扉の開け閉めが大変になります。
この問題を解決する方法の一つに上吊り戸があります。この方式を採用しつつ、かつ積雪強度が高いメーカーにヨドコウ・ダイケンがあります。
ダイケンは豪雪型(150cm)までの積雪に対応可能な物置が豊富にあり、ヨドコウは扉の色やサイズが豊富でサビに強いという特徴があります。
寒冷地に物置を設置するのであれば、まずはこれらのメーカーをチェックしてはいかがでしょうか。