1995年1月、兵庫県南部で阪神淡路大震災が発生しました。この地震によって、約21万棟の家屋が全半壊しましたが、その9割近くが古い木造住宅だったと報告されています。
当時の建設省(現国土交通省)の建築震災調査委員会の調査によると、1981年の新耐震基準執行以前に建設された新しい建築物の被害の程度は軽く、現行の新耐震基準は妥当であったと判断されました。
この阪神淡路大震災の教訓をもとに1995年12月に耐震改修促進法という法律が執行されたのです。目的は古い耐震基準の建物の耐震化の促進することでしたが、実際に成果が表れたとはあまり言えない状況でした。
そのため、2006年1月に耐震改修促進法の改正が行われています。この改正により、大規模地震に備えて建築物や住宅の耐震診断、改修を早急に進めるために数値目標を盛り込んだ計画の作成が各都道府県に義務付けされることになりました。
2018年の11月に政府は耐震改修促進法の政令を新たに会議決定しました。今回の法律改正は地方自治体が指定した災害時の避難場所に面しているブロック塀の耐震診断を所有者に義務付けるもので、2019年1月より執行されます。
対象となるのは耐震基準が強化された1981年以前にマンションや商業施設の大きな建築物に設置された堀などです。この耐震改修促進法の背景には今年6月の大阪府北部地震でのブロック塀倒壊死亡事故があります。
痛ましい事故の再発を防ぐため、幹線道路など緊急輸送道路、または通学路などの難路沿いにある一定規模の建物に義務付けていた耐震診断を堀にも拡大するものです。
診断を受けず、放置されたブロック塀は各自治体が所有者に指導し、従わない場合は物件名を公表します。
もし所有しているブロック塀が地震などによって倒壊し、被害を出してしまったらその責任は所有者に課せられます。中古物件を購入した、または相続した場合でもこの責任は変わりません。
ブロック塀の建て方は築基準法施行で決められています。鉄筋、基礎は見た目では判断できませんが、最大の高さは2.2メートルとなっているのでメジャーで確かめるのも可能です。
耐震改修促進法が活用されると耐震改修、及び撤去のための支援策が検討されるので、すべて自費で診断、改修しなければいけない訳ではありません。
もしブロック塀を所有していて、1981年の建築基準法以前に建てられたものであるか心配ならば、この機会に制度を利用して診断を受けてみるのもお勧めです。
ブロック塀を所有している方は検討してみてはいかがでしょうか。